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NOV 14, 2025
WORDS BY TSUJI, RYO MURAMATSU
PHOTOGRAPHS BY NAOKI USUDA

――今回扱うのは、ベストと2型のフィッシングジャケット。どれも採用したのは高密度に織られたサテン地で、しなやかさと適度なハリコシ、そして美しい光沢が特徴です。釣り由来のディテールは〈ウールリッチアウトドアレーベル〉ならでは。ポケットやシルエットなど、クラシックなデザインを踏襲しながらも、生地との組み合わせによってモダンな印象を与えるプロダクトに仕上がっています。カラーは写真のオリーブに加え、チャコール、サックス、セージもラインナップ。これからのウェアを井田さんはどのようにスタイリングするのでしょうか。

HIGH COUNT SATIN FISHING VEST ¥86,900(tax in)
MELTON WOOL CRUISER JACKET ¥104,500(tax in)
MELTON WOOL TROUSERS ¥41,800(tax in)



――井田さんが最初に披露するのは、収納力の高いベストを中心に、ウールのセットアップを合わせたスタイリング。クラシックで重厚感がありながらも、足元にスニーカーを合わせて、見た目の軽さも表現しています。
井田: 全身オリーブ系の色で合わせると、どうしてもアウトドア色やワーク色が濃くなってしまうのですが、あえてそれに挑戦してみました。ポイントは素材のコントラストですね。サテンの光沢と、ウールの落ち着きを掛け合わせて、両方がよく見えるように相乗効果を狙っています。セットアップがすごくシックな印象だから、遊びの効いたベストを組み合わせるとバランスがよくなる。お気に入りのスタイリングです。
――ショート丈のフィッシングジャケットは女性に人気のアイテム。デニムやブーツを合わせたオーセンティックな組み合わせですが、インナーにはブラウスを使って、こちらもコントラストを意識。
井田: 武骨なアイテムにドレッシーな服を合わせるって、王道のハズしなんだけど、黒縁のメガネを合わせたりしながら小物でシックに印象付けていますね。このジャケットは短丈でデザインが効いているから、ベーシックな組み合わせでも、羽織るだけでスタイリングが完成する。そうした中で、小物使いや、足元のロールアップで小技を効かせると個性が出しやすいです。
――襟のコーデュロイがポイントになるフィッシングジャケットは、タートルネックのニットに、デニムを合わせるというシンプルな構成。ジャケットを主役として立てたベーシックな組み合わせは、誰もが真似しやすい着こなしです。
井田: すごくシンプルなスタイリングですが、実は細かな部分にこだわっています。例えば、ニットはタートルネックのものをセレクトして肌が見える分量を減らしたり、デニムもあえてサイズダウンしていて、全体的な印象をソリッドに仕上げているんです。これがクルーネックニットで、デニムもワイドだったらカジュアルに見えて普通になってしまう。アイテム選びやサイズの調整など、ちょっとした工夫で見え方が大きく変わるので、ぜひいろんな組み合わせを楽しんで欲しいです。

「川村都スタイリストスクール」を卒業後、五十嵐孝智氏に師事し、2011年に独立。雑誌や広告を中心に活動し、モードとカジュアルを巧みに融合させた、洗練されたスタイリングを数多く手がけている。